小さなボトルに広がる自然の循環
――アクアリウムを始めたきっかけを教えてください。始めて良かったと思うこともお願いします。
パルダリウムのワークショップに参加したことがきっかけです。小さな容器の中に自然の景色が広がっていることに、とても魅了されました。そこから少しずつ興味が広がり、気づけば淡水ボトルや海水ボトルにも挑戦するようになっていました。
始めて良かったと思うのは、日々の中に小さな変化を感じられるようになったことです。
植物の新芽を見つけたり、生きものが抱卵していたりと、毎日の中に発見がたくさんあります。小さなボトルですが、暮らしの中に小さな変化やささやかな幸せを届けてくれる存在だと思います。

――アクアリウムにおいて、特に気をつけていることや管理方法について教えて下さい。
循環とバランスです。小さなボトルの中では、枯葉や生きものの排泄物が微生物によって分解され、栄養となり、植物に利用されていると考えています。
枯葉やトリミングで出た水草などを乾燥させて底床に埋めることで、微生物が周囲の栄養を抱え込みながらゆっくり分解し、やがて植物に利用されていく。
そんな自然な循環を意識しています。
換水やトリミングも、その循環の中から余分なものを外に出し、バランスを整える作業として考えています。水草の気泡は上がっているか、新芽は出ているか、生きものはいつもの場所で落ち着いているか、餌を食べる様子はいつも通りか。
そうした小さなサインを読み取りながら、日々の管理の中でバランスを整えるようにしています。

――アクアリウムをされていて失敗したなと思ったことはありますか?あれば理由を教えて下さい。
たくさんありますが、一番印象に残っているのは、ボトルの水がピンク色に染まったことです(笑)。
初めて立ち上げたボトルアクアリウムでは、1ヶ月もしないうちに赤系の水草が溶けてしまい、水がピンク色になってしまいました。
当時は理由も分からず、白く濁ることや緑色になることについての情報は出てくるのに、ピンク色の水についてはほとんど見つからず、すごく困った記憶があります。
今思えば、新しい環境に水草がうまく適応できなかったのか、赤系水草が急に溶けたことで、葉に含まれていた赤い色素が水中に出てしまったのだと思います。
当時はその前兆に気づけませんでした。
その経験があったからこそ、今は小さな変化を見逃さないように、日々の観察を大切にするようになりました。

――――今後育ててみたい植物や挑戦してみたいことはありますか?
かなりマイナーな話になってしまいますが、30cmクラスの少し大きな海草ボトルを立ち上げてみたいです。海草は海藻とは違い、陸上植物の仲間が、再び海の中で暮らすようになった植物です。
小さなボトルの中で、海のゆりかごとも呼ばれる海草藻場のように、海草が根を張り、底床や微生物、生きものたちと関わりながら成長していく。そんな小さな生態系を、自分なりに再現してみたいと思っています。
――アクアリウムのレイアウトで特にこだわっていることはありますか?
小さな容器の中でも、自然の景色を感じられることを大切にしています。特に意識しているのは、前景・中景・後景のつながりです。一部余白を作り、奥へ視線が抜けるように、水草や海藻の高さ、配置を考えています。
インテリアとしては、海水ボトル、淡水ボトル、アクアテラリウムなど中身がさまざまなので、ボトルを置くお皿や照明などを統一し、並べたときにも全体に一体感が出るように意識しています。

微生物や物質循環を学べるアクアリウム
――SNSや本、動画など、アクアリウムの情報収集はどのようにしていますか?
SNS、特にInstagramと本を中心に情報収集しています。Instagramでは、実際に育成されている方の投稿を見ながら、管理方法やレイアウトの工夫、イベント情報などを知ることが多いです。
一方で、本では水草や海藻、微生物、物質循環などについて、基礎的な考え方を学ぶようにしています。SNSで実際の事例に触れ、本で背景や仕組みを学びながら、自分のボトルにも少しずつ活かしています。
――アクアリウムの照明において重視されている点は何ですか?
デザインと、照らしたときの見え方を重視しています。植物や藻類が育ちやすい光であることはもちろん大切ですが、それと同じくらい、部屋に置いたときに美しく見えることも大切だと考えています。
育成に向いた光と、人の目で見たときの自然な色味や美しさを両立しているライトは、探してみるとなかなか見つかりませんでした。
ボトルアクアリウムはインテリアとしての要素も大きいので、植物が健やかに育ち、なおかつ暮らしの中で眺めたくなる光であることを重視しています。

――植物育成ライトを使うことで、植物の成長や見た目にどのような違いを感じましたか?
マリンアクアリウムの話になりますが、以前はよく使われる青みの強いライトも試しました。しかし、見た目が暗く感じたり、海藻本来の色味が分かりにくいと感じることがありました。また、フルスペクトル系のライトも使用しましたが、距離や照射時間の調整が難しく、紅藻に葉焼けのような傷みが出たこともありました。
その中でSUSANOOを使ったときに、水の透明感や海藻の色味が自然に見えたのが印象的でした。
海藻ボトルでは、緑藻、紅藻、紫系の海藻など、それぞれ性質の違う藻類を同じ小さな容器の中で育てています。本来は生えている場所や受けている光の環境も違うはずですが、SUSANOOの光ではそれぞれの色味が綺麗に見え、海藻本来の発色を観察しやすくなったように感じています。
植物育成ライトは、ただ成長を支えるだけでなく、ボトルの中の自然をどう見せるかにも大きく関わるものだと思っています。

――アクアリウム初心者やこれから始める方に向けて、メッセージをお願いします。
最初から上手く育てようと気負いすぎなくて大丈夫だと思います。私自身も、水をピンク色にしてしまったり、たくさん失敗してきました(笑)。でも、失敗しながら観察を続けていると、少しずつ水槽の中の変化や、生きものたちのサインが分かるようになってきました。
アクアリウムの中でもボトルアクアリウムは、小さな容器の中でも自然の循環や、生きものたちの成長を身近に感じられる、とても面白い世界だと思っています。ぜひ難しく考えすぎず、自分の好きな景色を楽しみながら、ゆっくり育ててみてください。

――あなたにとってアクアリウムとは何ですか?
世界を広げてくれるものです。私は水草や海藻、海草など、水中や水際で育つ植物や藻類に特に興味があります。その植物や藻類のことをもっと知りたいと思ったことが、微生物や物質循環について学ぶきっかけになり、生き物や自然を見る目も少しずつ変わっていきました。
また、Instagramではボトルアクアリウムを中心に発信しており、SNSを通じて知り合った方々と、アクアリウムイベントなどで実際にお会いする機会も増えました。
もともとは一人で完結する趣味だと思っていた小さなボトルが、学びの面でも、人とのつながりの面でも、私の世界を広げてくれたのだと思います。

――ありがとうございました。

———–LINK———–
Instagram @syo_aqua_plants

